大逆転のセイバーメトリクス(その2)/鳥越規央の野球視角

2017年11月24日更新

今回は7月26日に神宮球場で行われたヤクルトvs中日15回戦で発生した大逆転劇を、その勝利確率の推移を計りながら振り返ってみます。

先発オーダー
中日

ヤクルト

ヤクルトの先発はルーキーの星知弥でしたが、それまでの7月の登板は3連敗中。この試合でも序盤から中日打線につかまります。2回に3失点、4回に3失点、5回に4失点と計10失点。7回表まで中日が10-0と大量リードを奪ったため、球場内は東京音頭を歌ったら帰宅する気で充満したファンの雰囲気に包まれていました。

ここまでのヤクルト側から見た、勝利確率の推移を見てみましょう。





7回表終了時点でのヤクルトの勝利確率は0.053%ということで、逆転が起きる確率は1887試合に1回という状況。ここからヤクルトは奇跡的な追い上げを見せることになるのです。

後半戦での勝利確率の推移とともにその状況をおさらいしてみましょう。



赤:山田の同点タイムリーによる変動
青:大松のサヨナラホームランによる変動

7回裏2死の状況でヤクルトの勝利確率は0.027%。つまり中日側からすれば99.973%まで上昇していたのです。

そこで、この日スタメンから外れていた中村悠平が代打で登場、反撃の口火を切る2ランを放ちました。ただこの本塁打での勝利確率変動は0.0008と微増にしか過ぎませんでした。しかし、これは後に来る大変動の予兆だったのです。

8回裏先発の大野がバレンティンに2ランを浴び山田に四球を与えたところで交代となります。その後ヒットや四球で満塁とし、上田の犠牲フライの後、3連打で8-10まで下位打線から上位につないだ打線が怒涛の追い上げを見せます。しかもこの後はバレンティン、山田と続きますから、もうヤクルト打線の勢いは止まりませんでした。

バレンティン四球の後、山田がレフト前タイムリーでとうとう10-10の同点に追いつきます。この山田の一振りは勝利確率を20.72%から59.68%に引き上げる大きな変動を産みました。

9回で決着がつかず延長戦。そして10回の裏にクリアマックスが来ます。ロッテから移籍の大松尚逸が中日5番手の伊藤準規から、ヤクルトファンの待つ右中間スタンドにサヨナラホームランを放ち、11-10の大逆転勝利をもたらしたのです。

この一打で、57.17%だった勝利確率が100%となり、0.428のWPAが加算されました。つまり大松はこの一打席で最もヤクルトに貢献した一打を産んだことになります。

ちなみに10点差をつけられての逆転勝ちは過去に3度あります。

1949年10月2日第2試合 大陽vs大映

6回表終了時で10点差

1951年5月19日 大洋vs 松竹

6回裏終了時で10点差

1997年8月24日 近鉄vsロッテ

3回表終了時で10点差

ヤクルトの10点差逆転劇は20年ぶり4度目の記録となったわけですが、7回表終了時の10点差はこれまでに一番切羽詰まった状態だったということになるわけで、そう言った意味でも歴史的大逆転勝利を当時の神宮球場のファンは目の当たりにしたということになります。

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