カウント別打率 〜追い込まれても力を発揮できる打者とは?〜/鳥越規央の野球視角

2017年9月8日更新

まず、平均的なカウント別打率を見てみましょう。

上段:打率 下段:バッティングトライ率
(データ引用:鳥越規央「9回無死1塁でバントはするな」(祥伝社))

ここでバッティングトライ率とは安打、失策出塁、凡打、犠打、犠飛、空振り、ファールといった、投球を打とうと試みた比率のことです。一般的に2ストライクに追い込まれた後の打率は2割を切るほど、そのプレッシャーはかなりのものであることが伺えます。そんな中、2ストライク後の打率が高い選手というのはどういった選手なのか、それをランキングで見てみましょう。

8月31日現在の規定打席到達者における2ストライク後の打率は以下のようになっています。



リーグ最多安打を記録したことのある秋山や菊池、首位打者経験のある坂本などヒットを量産するタイプの選手が名を連ねてます。

「もともとの打率が高いんだから、2ストライク後の打率も高くなるのは当然だし、他のカウントでもそういう傾向になるんでしょ?」と思われた方もいるでしょう。ここで、その考えを覆すデータをご紹介します。

選手の打率と各ストライクカウント後打率との相関を以下に示します。

図1 打率と2ストライク後打率の相関図
相関係数 0.73

図2 打率と1ストライク時打率の相関図
相関係数 0.53

図3 打率と0ストライク時打率の相関図
相関係数 0.56

打率と2ストライク後打率の相関係数が0.73と強い相関を示しているのに対し、1ストライク、0ストライク時の打率との相関はそれほど強いわけではありません。

つまり首位打者を狙うためには、2ストライクと追い込まれた後のバッティングが鍵を握るということになりそうです。

今季はまだ規定打席に達していませんが、2012年、2016年と2回首位打者の経験のある、角中勝也(ロッテ)の2ストライクの打率は特筆すべきものがあります。

角中勝也の2ストライク後の打率の変遷

2014年をのぞき、追い込まれてからの打率の高さが非常に目立ちます。まるで2ストライクのプレッシャーはほとんどないかのごとき数値となっています。追い込まれた後に投じられるウイニングショットの変化球にも柔軟に対応できているからこそ、ヒットを量産できていることなのでしょう。

ちなみにカウント0-0、つまり初球から打ちにいったときの打率が高いのは以下の選手です。



セイバーメトリクス的8月の月間MVP

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打者部門
セ・リーグ 筒香嘉智(DeNA)
OPS 1.047(1位)
本塁打 7(4位)
打率 .315(6位)
長打率 .630(2位)
出塁率 .417(5位) 
RC27 7.86(1位)
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今月のセ・リーグ月間MVP候補は以下の選手でした。



クライマックスシリーズファーストステージ開催権争いをしている両チームの主砲がエントリーされました。

数値を比較しても筒香が優位でありますし、何よりDeNAは8月に

・ 3者連続ホームランによるサヨナラ勝ち

・ 3試合連続サヨナラ勝ち

とインプレッションの高さにおいても優位となっています。よって今月は筒香をMVPに選出です。なお、この両チームは9月に8試合対戦します。しかも、9月24日から29日まで1日移動日を挟んでの5連戦と、プレ・クライマックスシリーズのような戦いが待っています。両チーム盤石の状態での試合を期待しましょう。

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パ・リーグ 山川穂高(西武)
OPS 1.147(1位)
打率 .326(6位)
本塁打 9(1位)
長打率 .696(1位)
出塁率 .451(1位)
RC27 9.19(1位)
wOBA 0.481(1位)
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今月のパ・リーグ月間MVP候補は以下の選手でした。



今月は、日本ハムの大谷翔平、オリックスの吉田尚正、ロッテの角中勝也と怪我や不調から復帰した主砲が活躍した月でもあります。そんな中、8月2日の楽天戦で3打席連続ホームランを放ち、さらには8月6日のソフトバンク戦で、ホームベース上にいた小さな虫を助けた後、武田翔太から豪快な3ランを放つなど、いろんな意味でインプレッションの大きさもあった、西武の山川穂高をMVPに選出します。

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投手部門
セ・リーグ マイコラス(巨人)
登板 5
4勝1敗
防御率 1.46(1位)
QS率 100%
WHIP 0.73(1位)
FIP 1.69(1位)
奪三振率 10.70(2位)
K/BB 8.80
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8月は15勝10敗とし、とうとう借金を完済、59勝58敗で8月を終えた巨人。大車輪の活躍をしたエース菅野が後半から離脱しましたが、畠世周がその穴を埋める活躍。月間WHIP 0.80、防御率 2.08、月間3勝はともにマイコラスに次ぐリーグ2位の成績でした。阪神、DeNAの一角を狙ってクライマックス進出も視野に入ってきました。

そんな巨人は得意の阪神と6試合残しています。ここにラストスパートをかけることになるでしょう。

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パ・リーグ サファテ(ソフトバンク)
登板 13
1勝1敗11セーブ
防御率 1.46
WHIP 0.65
FIP 0.20
奪三振率 14.59
K/BB 10.0
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8月1日のオリックス戦でロメロにサヨナラホームランを浴び、2敗目を喫した際、救援陣の登板過多を首脳陣に訴え物議を醸したサファテでありますが、その後も先発投手陣のQS率は上昇していません(7月60%→8月52%)。

そんな大見得を切ったからでしょうか、その後のサファテはしっかりと仕事をこなし12連続のセーブポイントをあげ、8月31日の日本ハム戦でパ・リーグ記録となるシーズン44セーブを挙げました。そして月が変わって、9月5日のオリックス戦で日本記録となるシーズン47セーブをマークしました。

正直申し上げると、各指標の数字は7月の方が良かったのですが、2ヶ月連続の11セーブ、そして記録更新も加味して、MVP選出です。

今日の試合速報

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