交流戦のセイバーメトリクス 〜パ・リーグはセ・リーグよりも強いのか〜/鳥越規央の野球視角

2017年6月27日更新

今年の日本生命セ・パ交流戦もパ・リーグが56勝51敗1分と勝ち越しました。これで13回開催された交流戦のうち12回パ・リーグが勝ち越したことになります(セ・リーグが唯一勝ち越したのは2009年大会で70勝67敗3分)。こうなると「パはなぜセより強いのか」という論調の記事が多く見られることになるのですが、今回はそこに疑問を呈していきたいと考えています。

まずは基本成績から見てみましょう。





打率、OPSに関しては巨人、ヤクルトの打撃陣が振るわず、大きな差になりましたが、本塁打数ではセ・リーグが上回っています。また投手陣の成績にはそれほど大きな差が見受けられません。阪神の奪三振数171が飛び抜けて多いためFIPではセ・リーグが優位ですし、QS率も上回っています。

今年の場合、交流戦開幕時、巨人とヤクルトが大型連敗を喫するという非常に噛み合わせの悪い状態で臨んだがゆえに、最初セ・リーグが大きく負け越しました。しかし、最終的には5勝差まで詰め寄っています。また、各チームのカード勝ち越し数で比較をしてみますと、

セ・リーグの勝ち越しカード
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 広島 4カード
 阪神 4カード
 DeNA 3カード
 中日 3カード
 巨人 2カード
 ヤクルト 2カード
 合計 18カード
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パ・リーグの勝ち越しカード
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 ソフトバンク 5カード
 楽天 3カード
 西武 3カード
 日本ハム 3カード
 オリックス 3カード
 ロッテ 1カード
 合計 18カード
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というように、両リーグの勝ち越しカード数は互角なのです。これは、
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2015年 パ・リーグ23カード セ・リーグ11カード
2016年 パ・リーグ22カード セ・リーグ13カード
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だったことを考えると、均衡状態にあると言っても良いでしょう。

ここで、統計学における検定手法の一つ「ウイルコクソンの順位和検定」によって、今年のセ・リーグとパ・リーグの実力差に差があるかどうかを検証してみます。

今年の交流戦の順位表はこちらです。

(ただし、勝数が同じ場合は開催要項にある順位決定方式を用いて順位を決定している)

この検定方式によると、リーグの順位和が26以下、もしくは52以上であれば両リーグの力量に有意な差があると判定されます(有意水準5%)。しかし両リーグの順位和はこれに該当しませんので、有意な差がないことを否定できません。

では、他年度ではどうだったのでしょうか。2015年と2016年のデータを見てみると以下のような結果になりました。

2015年

2016年

2015年は、明らかに両リーグに有意な差があったことがわかります。2016年も、この年のオリックスが今年の巨人、ヤクルト状態だったことで足を引っ張ってますが、それを差っ引けば、両リーグに差があったと言っても差し支えないでしょう。

確かに今年もパ・リーグの勝ち越しで幕を閉じた交流戦でしたが、昨年一昨年ほどの実力差があるとはいえない状況であることは間違いありません。現に広島と阪神は4カード勝ち越し、DeNAと中日も3カード勝ち越しで対等に渡りあえたといえるでしょう。

ちなみに、日本シリーズでも過去15年でパ・リーグが優勝11回、セ・リーグ優勝4回と大きく水をあけられています。今年の日本シリーズではセ・リーグの巻き返しに期待しましょう! と締めたいところですが、現状フロントの他球団に対する分析力では圧倒的にパ・リーグに軍配が上がります。グローバルな視点でのチーム運営とさらなる育成への努力をセ・リーグのチームに望みます。

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