BABIPは運を測る指標なのか?「インプレー打率」BABIPの謎に迫る/鳥越規央の野球視角

2017年5月30日更新

セイバーメトリクスには「BABIP」という指標があります。

BABIPとは、
(安打―本塁打)/(打数―三振ー本塁打+犠飛)
で定義される指標で「インプレー打率」とも称されます。つまり、本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球の中で、安打となった率を示しています。

また投手側の指標としても使われ、
(被安打―被本塁打)/(打数―奪三振―被本塁打+犠飛)
で定義されます。打者のBABIPと区別するため「被BABIP」とも呼ばれます。

基本的に打率とBABIP(被打率と被BABIP)の相関は 0.9を超えるほど高く、打率が良ければBABIP も高くなる傾向にあります。

選手の成績が好調、もしくは不調であるとき、それにどれだけ運の要素が加味されているかを計る指標として用いられることがあります。それは、フェアゾーンに飛んだゴロがヒットになるか、ゴロアウトになるかは打球の速さだけでなく、守備位置や守備能力、さらには球場の形態にも寄与すると考えられるからです。

投手のBABIPについては、運の要素が大きいとされ、長期的にみるとどんなタイプの投手でも 0.3に収束すると言われているのですが、実際のところどうなっているのでしょうか。

現役年数が長い投手の被BABIP(注1)を見てみましょう。


(2017年5月24日時点 NPBでの記録のみ)

(注1:通算犠飛の記録が不明のため、その数値を含まない被BABIPとなっています。)

概ね、0.3の値に収束している様子が伺えます。MLB経験者である五十嵐と藤川の被BABIPが 0.3を下回っています。これは運の強さというよりも、強い打球を打たれていないとも言えるのではないでしょうか。

ちなみに現役ではありませんが、実働年数がかなり長い山本昌、工藤公康の両投手の被BABIPは以下の通りです。



ほぼ 0.3に収束していることがわかります。一般にBABIPは運の要素が40%、投手自身の能力が30%、守備力が20%、そして球場の形態が10%寄与しているという研究結果もあるようです。

次に打者のBABIPについてです。打ってから一塁に到達するまでが早い打者は、内野安打を稼ぎやすく、そのためBABIPが高くなる傾向にあります。逆に、打球方向が偏っている打者に対して、シフトを敷くことでBAPIPが下がることもあります。

こちらも現役年数が長い打者のBABIPで検証してみましょう。

(2017年5月24日時点 NPBでの記録のみ 1,000打数以上対象)

概ね 0.3に近い値になっていますが、首位打者経験者である福浦と内川のBABIPは 0.32となっています。右打者である内川のBABIPがこれだけ高いというのも特筆すべきことではないでしょうか。

なお、現在メジャーに在籍しているイチロー、青木のNPB時代のBABIPは以下の通りです。



両者ともかなりハイレベルなBABIPとなっています。左打者で俊足巧打であることがBABIP値を引き上げているのです。なお、イチローはMLB通算でも 0.339と非常に高い数値となっています。通算打率 .310の落合博満のBABIPは 0.307とそこまで高くありません。現役時代「俺は毎打席ホームランを狙っている。ホームランを狙わなければ打率4割を超えることができる」と語る落合に対し、イチローは「打率を気にしなければ、ホームランシーズン30本は狙える」と語っていました。バッティングの狙いによってもBABIPの値が変動するということなのでしょう。

5月24日(40試合終了)時点でまだなお .420と打率4割を大きく上回っている日本ハムの近藤健介ですが、近藤のBABIPはなんと 0.480。フィールドに飛んだ打球の約半数がヒットになっている計算です。96試合時点まで4割をキープし、結果シーズン打率 .378だった1989年のクロマティは、そのシーズンのBABIPが 0.394。運も味方につけて、NPB史上初の4割打者を目指して欲しいものです。

最後に、5月28日現在ロッテのチーム打率が .202と大低迷。BABIPが 0.250なんですが、もし最終的にBABIPが 0.3に収束するとするならば、後半はその呼び戻しが来て、打線爆発!、、、になるといいですね。

文/鳥越規央

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