ラジオの実況中継には文化としての野球が詰まっている

2017年10月2日更新

あなたは「屋上野球」という雑誌をご存じだろうか?

『球場で行われている“野球”よりも、“野球”にまつわる何か、“野球”について読むこと、語ること、のほうが好きになってしまった――そんな倒錯的な現象を肯定する文化系野球雑誌です。』(「編集室 屋上」サイトより抜粋)

先日発売されたVol.3の特集は「野球は、ラジオで」。なぜ“ラジオ”だったのか、編集人の林さやかさんに話を聞いた。

編集人 林さやか さん(編集室 屋上)

「屋上野球では“野球は他のスポーツとは違う”という視点で毎回企画しています。スポーツとしての野球ではなくて、文化として野球を捉えたいんです。野球のスポーツらしくない部分、それがラジオの実況中継に詰まっていると思っていました。」

野球とラジオの親和性の高さは、多くの方が感じていることだろう。それでも近年はCS放送やインターネットライブ中継など、どの球団でも試合の映像を観ることが出来る時代になった。

「『昔はラジオだったけど今は・・・』という“ノスタルジー”企画にはしたくなかったんです。」

近年ラジオを取り巻く環境が大きく変わった。今やラジオはパソコンやスマホアプリ(radiko)で聴くことができる。radikoプレミアムに加入すれば、関東のカープファンが広島のRCCカープナイターだって楽しめる。林さんは、現在進行形の“野球とラジオ”を特集したかったそうだ。

また、事前にインターネット上で読者アンケートを実施している。詳細は本誌を読んでいただきたいのだが、「聴取方法」という項目でラジオ受信機よりもradikoが上回る結果が出たのは特筆すべきことか。

好きな実況アナウンサー、解説者の投票結果にも触れておくと、実況アナウンサーの1位は今季から野球の現場から離れている文化放送・斉藤一美アナウンサー。

「今は現場を離れているので、投票しなかった方も多かったと思うんです。それでも1位になるのは凄いですよね。」

もはやラジオ野球文化には欠かせない存在。「野球を離れて」というタイトルで本誌にエッセイを寄稿している。そして解説者では元千葉ロッテ・里崎智也氏が1位となった。

「里崎さんが1位になったのは、“今”ラジオ聴いてる証拠ですよね。」

試合の思い出にラジオ実況が密着

ところで、林さんはいつから野球とラジオの特集を構想していたのだろうか?

「小さな構想は、前号を出した3年前から考えていました。やってみたかったんです。野球に限らず、私のまわりにはラジオ文化圏の人たちが多いんです。ラジオ好きな人って面白い人が多いですよね。」

確かに色々な意味で面白い人が多いかもしれない。アンケートのコメントも、面白いものが多かったことだろう。

「ホント、皆さんたくさん書いていただいて、読んでいて楽しかったんです。全部採用したいくらいだったんですよ。」

限られた誌面の中で、出したくても出せなかった「野球は、ラジオで」がたくさんあったようだ。今後も屋上野球には“ラジオ”が欠かせないワードになるのかもしれない。

「みなさん、試合の思い出にラジオ実況が密着していますよね。どういう風に思い出に残っているのか。絵が浮かんでるのか、音で残っているのか、それを読者の方に聞いてみたいですよね。」

読者アンケートだけでなく、野球中継を制作しているラジオ局へのアンケートも実施していて、様々な角度でのアピールポイントやエピソードが面白い。やはり、野球は“文化”なんだと感じる一冊である。

神保町で野球ブックフェア

屋上野球編集人の林さんは、おおよそ年に1度のペースで開催している『東京野球ブックフェア』の発起人でもある。来る11月3日(金・祝)、東京の古本屋街、神保町で野球ブックフェアを開催するということで、こちらのイベントも実に楽しみである。詳細は東京野球ブックフェアのSNS(Twitter、Facebook)等をフォローしてご確認いただきたい。

【屋上野球 Vol.3】
特集:野球は、ラジオで
衣笠祥雄インタビュー ほか
1,200円+税
詳細や購入は「編集室 屋上」で
http://oku-jo.com/books/okujoyakyu_03/

文/梶田陽三

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