あの「プロ野球ニュース」を知ることができる1冊

2017年4月21日更新

「僕の中では、これは野球本じゃないんですよ。」



そう切り出したのは、先月発売されたばかりの『オレたちのプロ野球ニュース 野球報道に革命を起こした者たち』(東京ニュース通信社 2,000円+税)の著者、長谷川晶一さん。30代後半より上のプロ野球ファンなら、フジテレビの「プロ野球ニュース」は必ず通ってきた道でしょう。現在も引き続きCSチャンネルで放送されていますが、多くの人にとって「プロ野球ニュース」は過去の番組。地上波の番組表から名前が消えて16年が経ちました。

「あんなに面白くて野球ファンなら誰もが見ていた番組が、どうして地上波から撤退しなければならなかったのか。時代・野球・テレビの関係性を読むことが出来る、メディア論の本だと思います。」

メディア論としての“プロ野球ニュース”。長谷川さんが取材した関係者は30名以上になるそうです。

「番組を作ってきた人たちの“人間ドラマ”をキモにしたかったんです。初代キャスターの佐々木信也さん、番組プロデューサー、ディレクター、カメラマン・・・それぞれ役割は違うけど、共通の目的に向かって力を注いできた、人物群像劇として読んでいただきたいです。」

人物群像劇。まさにその言葉の通り多くの人が制作に関わり、それぞれの立場で“ものがたり”が展開していく。これだけの関係者を見つけ出すのも、苦労があったと思われますが・・・

「必ずキーパーソンがいます。その人を見つけてしまえば、あとは自然と広がっていくんです。見つけるまでは大変ですけどね。今回の企画に関しては、フジテレビさんにかなりご協力いただくことが出来ました。未だに社内には思い入れの強い方が多くて、昔を思い出して血が騒ぐという感じだったようです。」

これだけの長寿番組です、作り手にとって“答えにくい話”、“聞いて欲しくない話”もあったのではないでしょうか。

「番組の顔だった佐々木信也さんが降板した時の話。佐々木さん自身には何もミスはなかったのに、それでも降板せざるを得なかった。かなりデリケートな話ですよね。降板を告げたスタッフ、告げられた本人。30年近く前の話を、もう一度蒸し返すといった心苦しさはありました。」

佐々木信也さんはこの降板劇を、どのように捉えているのでしょうか。

「当時のディレクターから降板の理由を“佐々木さんの老化”と明確に証言していただきましたので、そのままの言葉で載せました。その部分に関して佐々木さんご自身は、今でも納得出来ないと仰っています。」

番組立ち上げ、キャスター交代、番組の終焉・・・当時の視聴者、プロ野球ファンなら誰もが知りたかった真実。ぜひ手にとって頂きたい1冊です。



■長谷川晶一さん
ノンフィクションライター。「プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!〜涙と笑いの球界興亡クロニクル〜」、「最弱球団 高橋ユニオンズ青春記」、「プロ野球語辞典:プロ野球にまつわる言葉をイラストと豆知識でカッキーンと読み解く」といった、野球に関連する著書を数々手がける。

現在、文春オンラインで展開中の「文春野球コラム ペナントレース2017」(コラム投票企画)では東京ヤクルトスワローズを担当。

聞き手/柳沢怜
文/カジさん

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